ようやく、インター ネットの選挙活動が解禁された。
(2013年4月19日)私が
選挙情報専門サイトElection.をたちあげて13年目のこととなった。
2000年当時は、各新聞社もテレビ局も選挙情報もなく、開票速報もしていなかった。
国会議員のホームページ開設率もたった
10%ほどだった時代である。
当時開票速報を行なっていたのは、うちの選挙情報専門サイトだけだった。
8時の投票終了時点にサーバーを飛ばされたのは、ちょっとした思い出だ。
政策や主義主張のサイトではなく、
選挙に焦点を当てた選挙専門サイトを作ったのも、
有権者が実際に投票所に行くための判断材料が提供出来ればと思ったからである。
誰に投票するのかを考える時、自分がどの選挙区なのか?
そして誰が立候補しているのか?そしてどんなことを考えているのか?が
わからないといけない。
そのためにも、現職の国会議員の動きだけでなく、立候補予定者の動きも
選挙の判断材料になるはずである。
そんな思いで、政治家がタイムリーに情報発信できるように
作ったのが
政治家専門ブログ”ele-log”であった。
マスコミのフィルターを通さずに政治家から有権者へ直接メッセージを届けられればと、そして、どの政治家も並列で見られるようにと作った。
これが2004年のことだ。
しかし、インターネットの存在していなかった昭和25年に出来た公職選挙法の解釈により、ホームページは更新禁止となっていた。
なので、公示・告示前まではホームページの更新できるが
選挙期間中は更新禁止という、わけがわからない事になっていた。
実際に、
◆選挙期間中の世の中の動きに何の反応もしないホームページ
◆HPの間違えを見つけても修正すら出来ないホームページ
これを改正しようと何度も議論されたのに、
政権交代など政治に翻弄され廃案を何度も繰り返して来た。
そして、やっと2013年4月19日、
選挙期間中もホームページを更新してもよいという法案が通過した。
この法案も、
ネットは解禁されたのにビラやハガキなどの印刷物やFAXに
ついてはこれまで通りのままで置き去りになっていたり、
有権者のメールの利用は今回は見送りになっていたりと、
まだまだ荒っぽい内容ではある。
それでも、まずは
一歩前進だと思う。
なんといっても、ここにくるまで13年も待ったのだから。
ただ、13年前もしくは8年前ぐらいのインターネット状況であれば、
手放しで喜んでホームページ作りますよ、と名乗りを上げたいところだが、
当時と違って最近のインターネットは、
ソーシャルメディア化しているのだ。
つまり、ホームページしかなかったころであれば、
今回の法案で決まった「ホームページの情報発信」をしたり、
メルマガを送るだけでよかっただろうが、
現在はツイッター・Facebookなどの、双方向のコミュニケーションが発達している。
以前よりも、人とのつながりが重要視されているのだ。
マスメディアのように、一方方向に情報を流せばいいのではなく、
誰が情報を流しているか、そして、私の手元に誰が転送してくれたのかが重要であり、
それによって情報の信用度も左右されるのが、ソーシャルメディアなのだ。
だから、Facebookを使ったから、Twitterを使ったから、
「投票率が増える」「自身への投票が増える」というのは安直に考えすぎなのである。
まずは誹謗中傷を気にするよりも、どう有権者とつながるか、応援してもらえる立場になるかが必要だ。
そうすると、ソーシャルメディアを運営するにあたり、誰がどうやって関わるかを考える必要がある。
本人が更新しないTwitterやFacebookに誰が興味をもつだろう?
何より、Facebookの個人アカウントは、他人が代わりに記事を書いたりすることは規約違反となる。
となると、果たして選挙運動をしながら本人が書けるのか?という疑問が残る。
また、直接顔を合わせて話をする事や握手をする、頭を下げるという様子が
写真に撮られて、Facebookを駆け巡ったりTwiiterで拡散されることも多くなり、
今まで以上に多くの人に自分の一挙手一投足を見られる事となるだろう。
そして、
時間をかけて構築していくものであるソーシャルメディアに、
選挙に出るから始めました!という感のアカウントを作ったとしても、
どれだけの信用を得られるだろうか?
また、以前「有料バナーを出せるようになると金持ち選挙に逆戻り」という記事を
読んで感じたことだが、確かに有料バナーを出せば目にとまる機会は増えるだろう。
だが、そんなバナーに出している政治家の信用度が上がるのかと言われれば怪しいものである。。。
参議院選挙はネット解禁後第1回目の選挙であるから、本来なら、
老舗の選挙サイトとして一番に手を上げたいところなのだが、
今回は様子見を決め込むことにしている。
もちろん依頼があれば答えようとは思っているが、
こちらから積極的には取りに行く予定は今のところはない。
最後に、このネット選挙解禁が、政治家のためではなく、
更にいうと私達も含めて単なる業者の商機になるのではなく、
有権者にとって何が一番いいのか?を考えるべきだと思う。
有権者はバナー広告が並ぶこと、メールマガジンが頻繁に来ることを
望んでいるわけではないのだから。
安心して安全に生活できる国のタカチを誰が作ってくれるのか?
そして、そのために自分たちは何を考えないといけないのか?
それを一緒に考えてくれそうな人はだれなのか?
そんな情報や判断材料がすぐに簡単に仕入れられ、
友人知人と一緒に語り合える機会が増えることが
ネット選挙解禁で生まれてくるといいなと思う。
今回、どんな動きがあるのかは、ちょっと遠巻きから楽しみにしていようと思う。
※2013年4月21日 先日読売新聞さんに取材を受け、載せて頂いた記事を受けて
2013.4.20 読売新聞 福岡版 朝刊
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「読み書きそろばんソーシャルメディア!」
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